災害にも強い福祉コミュニティーづくり、協働推進・市民社会づくり 有限会社コラボねっと
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協働推進・市民社会づくり自治体職員の皆様へ

効果的な協働事業の創出

市民と行政が協働運営したワークショップ(愛媛県今治市の事例)

山本優子(特非・今治NPOサポートセンター)

  市民の安心・安全を保障し、暮らしやすいまちを維持し続けるために、地域コミュニティの再生は不可欠な課題になっている。いくつかの自治体では、再生を促すために、財政的な支援の手法転換や人的支援への取り組みをはじめている。ただ、長い歴史の中で築かれた慣習や仕組み、複雑な人間関係は、その再生への大きなブレーキとなっているようだ。そこで、旧来の自治会組織に代表されるコミュニティ組織とは別に、自立的なNPOの組織化などに再生の糸口を見出そうという事例も見られる。

  私の暮らす「愛媛県今治市」の事例を紹介したい。今治市は、本州と四国を結ぶ3本の橋のうちの1本、「しまなみ海道」が架橋されているまちである。平成17年度の合併で、しまなみ海道が架橋されている「大島・伯方島・大三島」をはじめ、他の離島を含めた島しょ部との広域合併を実現した。観光による地域振興に積極的なまちで、行政が主導する地域振興関連の検討委員会などがいくつも開催され、各種の計画策定・提言がなされてきた。こうした行政主導の会議によくありがちなのが、計画や提言は成されるものの、具体的なアクションに結びつかないというものだ。愛媛県今治地方局建設部が設置した「しまなみ地区サイクルツアー推進協議会」は、こうした疑念を払拭し、地域関係者の多様な参画を促し、市民の実践機運を醸成した事例として推薦できるものだ。

  「サイクルツアー推進協議会」は、しまなみ地域活性化のために、大規模自転車道を活用し、新しいツーリズムを普及させる計画づくりを進めるものとして設置された。推進委員は、行政、公団、学識経験者、サイクリスト、マスメディアなど様々な市民が担っている。協議会において、しまなみ地域の3つの各島で、島をゆっくり巡ることができる「サイクリングモデルコース」を創ってはとの提案があがった。これまでの道路管理行政では、コンサルティング会社に発注し、現地調査が行なわれ、必要な標識や休憩所が設置される。そして、住民には結果として、整備状況を知らせるに留まることが多かった。それでは、コースが出来上がったとしても地域の関わりが薄く、生きた財産になりにくい。そこでコースづくりを地元住民に委ねようと視点を変換させた。各島で地元住民の参加型ワークショップが開催され、複数のモデルコースが提案された。

  ワークショップは、行政とNPOの協働で運営された。何回くらいの集まりを、どのような手法で進めるか、限られた予算と時間を有効に使い、成果をあげるための構想が、両者で練り上げられた。方向性が決まった後、広報誌で参加者を募集。多様な立場の人に参加してもらいたいと、自治会や商工会など地元組織に再三に渡り足を運んだり、口コミにより直接、参加を呼びかけたりする作業も行なった。結果、概ね、各島とも50名程度の参加を得ることができた。初回のワークショップでは、目指している具体的な成果のイメージを視覚情報として提示し、明確な目標づくりを行なった。目標が共有されることで、必要な情報の収集やアイデアの抽出がスムーズなる。机上の議論を重ねた後は、まちの要素を丁寧に見て周る現地調査も実施した。

  3つの島の中の一つ、大三島では、出来上がったモデルコースを全島民に知らせる成果報告会が企画、開催された。「計画づくりに参加したのは島の一部の人だ。もっと広く知らせたい。」との声が地元参加者からあがり、実現したのだ。住民自らが提案するコースだということの実感が高まった証だと言える。さらに、モデルコース提案後、これを活用した観光まちづくりを進めようと、ゆるやかなネットワーク組織につながったことは大きな成果だ。行政事業で生み出されたものは、住民の日常的な活動の中に組み込まれ、住民が継続的に関わることでいかされる。参加型ワークショップは、担い手育成や組織づくり、プログラムづくりへ波及することが本来の意義だと言える。

  

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