協働推進・市民社会づくり自治体職員の皆様へ
地域振興組織(広島県安芸高田市の取り組み)
山本優子(特非・今治NPOサポートセンター)
市民の自発的な参加によって形成されたNPOをはじめとする市民活動と行政との協働は、委託、補助、指定管理者制度などが活用され、各地で進む。互いが協働の本質を正しく理解していないケースが多々見受けられるという課題はあるものの、市民ニーズの多様化、行政改革のうねりと共に、一気に拡がりつつある領域だ。ただ、ローカルエリアでは、地域全体のニーズをとらえ、公益性の高い活動に安定的に取り組むNPOが育っておらず、行き詰まりを感じるのが正直なところだ。そこで、多くの地域では、地域コミュニティ活動の再生に力点をおきはじめている。いくつかの自治体では、その再生を促すために、財政的な支援の手法転換や人的支援に取り組んでいる。
一つの事例が、広島県安芸高田市だ。高田郡6町が2004年に合併し、安芸高田市となった。市は全域に32の地域振興組織を設置し、住民主体のまちづくりに精力的に取り組んでいる。旧町単位に連合組織をおき、そこに平均400万円の活動支援交付金を交付、また、事業支援助成金として300万円を上限に補助するなど財政的な支援を行っている。地域ニーズに合致した特色ある事業に活用できる、かなり自由度の高い助成金だ。さらに、人的支援として、合併後4年間、設立間もない組織への実践的な活動の助言を行う地域振興推進員の設置、また、地域活動の下支えとして職員の地域活動への積極的な関わりを促している。
「職員も一住民。自らのこととして地域に関わってほしい。」と、同市自治振興課の小田忠さんは言う。組織としても各支所に地域振興担当課を設けおり、組織活動のサポート体制を整えている。
32の地域振興組織は、合併を契機に結成された組織もあれば、30年以上の活動実績がある組織もあるなど、状況は様々だ。「やらされている活動ほど、面白くないものはない。」小田さんは、住民自らが地域の課題を洗い出し、解決に向けて動き始めるきっかけをつくることが一番の仕事だったと振り返る。平成の大合併の後、様々な形態の協議会等を設け、住民ニーズの把握に取り組んだ自治体は多い。ただ、一朝一夕には成果は出ない。それは、例えば情報公開、権限委譲を形式的に進めても、住民が自ら住まう地域を運営していくという、自治の意識の芽生えと連動しないと、地域は変わらないからだ。もちろん、安芸高田市も同様の課題を抱えてはいる。住まう地域を運営するということは、つまり地域を経営していくこと。コスト感覚を持って、利益をあげ、その収益を必要な事業に配分する。そんな経営視点を持って熟度の高い活動を実践している組織はまだ少ない。ただ、焦りは禁物だ。コミュニティ経営は、住民が経営者。住民が活用する資源を見出し、その地域らしいしくみを構築していくしかない。「活動は生涯のもの。地域ごとのペースを守り、がんばり過ぎないように」、小田さんの言葉が心に響いた。





