災害にも強い福祉コミュニティーづくり、協働推進・市民社会づくり 有限会社コラボねっと
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協働推進・市民社会づくり自治体職員の皆様へ

効果的な協働事業の創出

生涯現役"地益"に支えられ(広島県安芸高田市・川根振興協議会の取り組み)

山本優子(特非・今治NPOサポートセンター)

 先に紹介した安芸高田市の政策を動かしたのは、住民自治の先進モデルが同じ町内にあったことが一つ背景にある。先進モデルとは「川根振興協議会」だ。昭和の合併後、過疎化、高齢化が急激に進んだ川根地区。行政任せにしていては自分たちの安心・安全な暮らしが保てないと、有志6名が集まり、1972年「川根振興協議会」を結成する。同年、川根地区は集中豪雨で壊滅的な被害を受ける。この時、協議会が中心となり援護班を結成、住民同士の助け合いにより、災害復旧に取り組んだ。これが大きなきっかけになり、1974年には地域の全世帯加入に結びついた。

 現在、産業振興、高齢者福祉など、多様な自治活動を行っている。活動費は、自治会費はもちろんあるが、状況に応じて、財源を工夫して編み出している。例えば「1日1円福祉募金」。地区住民が無理なく資金提供できる形を考えたのだという。この募金を財源に、給食を作り、75歳以上の一人暮らし世帯に配る訪問活動を展開する。活動の中枢は月に1回の「常会」。「ええことも、悪いことも全部話すんよ。行政も欲しい情報はすぐにくれる」、辻駒健二会長は、住民自らが議論し、課題やその解決方法を提案することの大切さを力説する。地方自治のしくみとして、自治体の首長、議会議員は、住民の意思を反映する代表である。ただ、そのしくみだけに任せていては、住民自治は成り立たない。「行政ができることには限界がある。協議会育成に議員はかかわって欲しい」、こう話した当時の町長の言葉が、辻駒さんには印象深く残っていると言う。

 住民提案から生まれた魅力的な事業の一つが、若者定住策である「お好み住宅」だ。この住宅、普通の市営住宅ではない。設計段階から入居者の要望が反映でき、20年後には入居者が安く購入できる。家賃は3万円。入居には条件がある。義務教育を受ける子どもがいて、20年間定住すること。そして、地域づくりに参加すること。この提案をした時、「制度がありません。」というのが、行政職員の第1声だったそうだ。「制度がなければ、制度からつくっていこう」、そこから官民一体となった試行錯誤がはじまる。今、「お好み住宅」は中山間地の市営住宅としては異例の人気だ。18世帯76人がI・Uターンで入居、廃校寸前だった川根小学校の児童の過半数以上がここから通う。

 「川根夢ろまん宣言」、1991年にできたこの宣言が、多岐にわたる活動の理念となっている。川根中学校の統廃合が持ち上がった際、跡地を地域の拠点とすべく、2年がかりで作成したものだ。住民の議論で積み上げていく姿勢がこの時から貫徹されている。住民の思いを結集したこの宣言が基盤となり、中学校跡地は「エコミュージアム川根」として、自然と人間、都市と農村との共生を願い、学習や実践活動を展開する拠点施設となった。年間約4000人が利用し、地域内外の交流の場として、地元の雇用も創出する。

 「生涯現役。年金+年間30万円。」、そんな合言葉が川根にはあるそうだ。「いくつになっても、一人ひとりが生きがいをもって、暮らしていけるまちをつくりたい。そのために、“地益” ( 地の利を活かした経済活動)をどう生み出すか…。」戸数252戸、人口589人の高齢化が進むまちのチャレンジは続く。

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