協働推進・市民社会づくり自治体職員の皆様へ
特定非営利活動促進法(通称NPO法)施行から10年
山本優子(特非・今治NPOサポートセンター)
新緑眩い5月、杜の都・仙台におりたった。目的はせんだい・みやぎNPOセンターを訪れること。昨年、設立10周年の節目の年を迎え、10周年記念事業も無事終えられた職員の皆さんは、この10年の総括を1冊の本にまとめる追い込みの作業に忙しそうだった。そんな熱気溢れる事務所の一角で、代表理事の加藤哲夫さんにお話を伺うことができた。全国に先駆けて行った市民活動団体の調査から生まれた「センダードマップ」、自由に情報を交換し議論する場の構築など、1998年の特定非営利活動促進法(通称NPO法)が施行される十数年も前の取り組みには、改めて市民活動の原点を教えられるものだった。
こうした活動がNPO法の施行を後押しし、今、自発的に活動する市民の受け皿として、NPOは大きく社会的に認知されるようになった。福祉、環境、子育てなど、生活実感、当事者実感から始まった草の根の取り組みが、行政や企業と連携しながら力強く活動する姿も珍しくない。21世紀は「協働」の世紀とも言われる所以だ。特に、財政難により行政改革が迫られる中、多くの行政がNPOとの協働を政策目標にかかげ、まちづくりの切り札として取り組んでいる。全国的に協働推進の条例や基本指針、マニュアルの作成は高い割合で整えられている。実務的には補助・委託、指定管理者制度などが活用され、関係を結び、行政サービスの新たな担い手としてNPOが活躍するようになった。
しかし、一方で、「協働」の理解が行政側にもNPO側にも正しく進んでいない現状が見えている。現場では、単なる業務の下請け化、低賃金労働の蔓延など、対等な関係構築が進まないとの嘆きを聞く。全てとは言わないが、とても表面的な事務事業の受け渡しの範囲で「協働」が語られているように思う。行政が担ってきた既存のサービス、施設管理の開放は少しずつ進むものの、本来必要な地域のビジョンを協議、共有する機会はほとんどないのが実態であることがその証だ。審議会、委員会への市民参加はあっても、その後の実施段階になると、行政が発注者、NPOが単なる受注者となり、協議のテーブルが消えてしまう。NPOの魅力は、新しい価値観の提案や社会実験を行う先駆性、提言性にある。現在、行政サービスになっていないところにこそ「協働」の現場があるはずなのだが、そこを切り拓く豊かな活動は多くはない。
行政の制度やしくみをよく知らない、地域全体のニーズを見据えた提案力が育っていない、そんなNPOの力不足も否めないが、行政側にも適切に情報を開示し、共に学び合いながら切り拓いていく姿勢が大きく不足しているのではないだろうか。ローカルエリアでは、行政職員から「協働できるNPOがない」という声をよく聞く。確かに自主財源を持ちながら安定的に活動する力のあるNPOが地方では育っておらず、行き詰まりを感じるのは正直なところだ。ただ、長年、官主導でまちづくりを進めてきたことによる市民の力不足、無関心は当面、仕方がないこと。市民自治の力を育てるプロセスこそ「協働」の意義だと捉え直すことが必要だ。仙台の訪問はそんな思いを強くした。
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