協働推進・市民社会づくり自治体職員の皆様へ
協働は行政用語?
阿部圭宏(市民活動・NPOコーディネーター)
特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法)が施行されたのが、1998年12月1日。今年は、NPO法が施行されて10周年の記念すべき年である。NPO法が成立する前後、行政の関心は、NPOの支援に置かれていたが、その中でいち早く「協働]を掲げたのが、前回にも触れた横浜市である。こうした横浜市の取り組みを皮切りに、全国各地で行政が主体となった協働が推進されるようになる。
行政は「NPOとの協働事業」とか「市民と協働している」と、協働を強調することが多いのに対し、市民サイドはなぜか協働という言葉をあまり使わない。首長の政権公約、施政方針に始まり、協働推進のための条例や指針など、行政の協働に対する関心はとどまることを知らない。まさに、協働は、行政がつくったとは言わなくても、行政が社会に広めた言葉であることは確かなようである。
市民と行政の協働、あるいは市民協働という言い方も、今や一般的になりつつある。では、協働の相手方としての「市民」とは誰を指すかである。一般的に、この場合の市民は、個人としての市民だけでなく、NPO(主には市民活動団体)、コミュニティ組織、企業、中間団体などの組織も含まれると考えられる。協働を組織対組織という関係で考えると、ある意味分かりやすいが、市民という個人と行政という組織との協働ということが果たして成り立つのかが大きな問題である。
市民参加という場合の市民は個人を指すことが多く、それが一般的な理解だと言えるが、協働の相手方の市民には、実のところ個人は想定しにくい。理論的には成り立つものかもしれが、横浜コードが言っているような協働の原則が成り立たないような気がするのである。結局のところ、行政が市民との協働と言う場合にも、その前提には組織対組織という関係での協働なのだということをお互いの暗黙知としておく必要があると思われる。





